静水圧によるカチオン性π系の積層/応答挙動調査
私はA01班石垣グループ(北海道大学有機化学第一研究室)で、カチオン性π系の積層に関する研究を行っています。π系は近接して積層するほど相互作用が大きくなり、特異な物性を発現することが期待されます。ここで、広いπ系により静電反発の影響がほとんどないカチオンユニットを用いれば、中性π系間に比べ交換斥力が小さくなるため、カチオン性p系間で近接積層が可能と期待し、カチオン性シクロファンの研究に取り組んできました。シクロファン型ジカチオンの検討を進める過程において、外部刺激に対する応答挙動、特に加圧下で積層構造及び応答挙動を制御可能と着想しました。そこで、A03班福原先生とのディスカッションを経て、福原グループの桑原さんが興味を持ってくださったのをきっかけに共同研究が始まり、今回の国内留学に至りました。
2週間という滞在期間の中で、静水圧を印加した状態での吸収測定について丁寧にご指導いただきました。普段とは異なる気候・実験環境で失敗することも多々ありましたが、火原・福原研の皆さまに支えていただいたことで納得のいく実験をすることができました。また、反応条件や測定結果のディスカッションを通して、静水圧下での分子のコンフォメーションの変化や溶媒和の影響について学ぶことができました。加えて、全く異なる研究を行っている方々とも交流することができ、非常に貴重な経験となりました。
ご多忙の中にも関わらず受け入れてくださった福原先生、桑原さん、また火原先生をはじめとする火原・福原研のスタッフと学生の皆さま、さらに国内留学の機会を設けてくださった石垣先生、高密度共役の科学の関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。