大環状金錯体を経由した環状π共役系分子の構築
私は北海道大学有機化学第一研究室 石垣グループで、アントラキノジメタン誘導体に関する研究を行っております。アントラキノジメタン誘導体は酸化されると、アントラセン骨格が形成されることに注目し、カチオン性アセン誘導体合成手法として活用することで新たな研究に取り組んできました。研究の過程で環状誘導体を設計し、合成の検討を進めることにしました。その中で、東京理科大学の河合英敏研究室の土戸先生(A01班)らが報告した大環状金錯体を経由した環状分子の合成法が有効な手法になると着想したのをきっかけに、実際にご指導して頂く運びとなり、今回の留学が決まりました。
約3週間の滞在の過程では、その合成手順や重要なポイント、まだ市販されていない試薬の合成も丁寧にご指導いただきました。普段扱わない試薬や器具の操作に慣れるまでに時間を要しましたが、3週間の間に無事、習得することができました。また、反応の仕組みや反応条件について、多くのディスカッションをさせていただきました。突然決まった研究室留学ですが、河合先生・土戸先生・学生の皆さまが快く迎え入れてくださったおかげで、とても楽しく収穫の多いものとなりました。この場を借りて、厚く御礼申し上げます。
懇親会(感染対策を十分に講じて実施されました)